2012年07月17日

おとなしい子ほど気にとめよう

kyouikuzukan.jpg 読売新聞ほうむたうん2009年9月号掲載

「うちは、上はおとなしいんだけれど、下がワンパクでね」
などという言葉を時々耳にします。

おとなしいというのは、よくほめ言葉として使われるようですが、
実際はそう簡単なものではありません。

「問題児の多いクラスを立て直すコツはありますか」と聞かれた時、
私はよくこう答えます。
「ケースによりますが、おとなしい児童が、キーポイントになることが多いですね」

そうなのです、おとなしい子どもの扱い方は、要注意なのです。

実は、手のかかるワンパクな子は、
目立つのでいろいろな場面で大人に声をかけ、
手をかけてもらえます。

また、行動的なため、自分の得意なことや、
能力を発揮できる機会にも恵まれます。

ところが、おとなしい子は、つい放っておかれがちになり、
能力を発揮できるチャンスをみすみす逃すことも少なくありません。

そう、おとなしい子は、損をすることが多いのです。
例えば、問題児の多いクラスの場合、教師がつい問題児ばかり指導をしていたとします。
その時、おとなしくしている大多数の児童は放っておかれ、我慢をしているのです。

表面上はおとなしくても、不満や反感を溜め込んでいることもあるのです。
こんな状態が長く続くと、おとなしい子が突然切れたり、
非協力的に変化して行きます。ある日気がつくと、
教師の言うことを聞く子どもがひとりもいない、なんてこともあるのです。

おとなしいからといって、不満やストレスがないわけではありません。
なんらかの理由でそれを外に出さないだけなのです。

クラスの中では、ワンパクな子もおとなしい子も、
同じだけ手をかけるよう、気づかいます。
おとなしく努力家の子たちが得意な学習発表会や自由レポートを企画し、
その中で、その子たちを活躍させ、評価します。
すると子どもたちは「大人は自分たちをきちんと見ていて努力すれば評価される」と
考えるようになります。
さらにそれを進め、人と関わる力をつけていけば、
クラスの中で優秀なリーダーに育つ可能性だってあるのです。

おとなしいからといって、いつも満ち足りているわけではありません。
おとなしい子ほど、気にとめ、声をかけましょう。
不満を聞きましょう、得意なことを伸ばしてあげましょう。


posted by カメ先生 at 11:09| Comment(0) | 生活

2012年07月14日

プラス面、マイナス面はセット

kyouikuzukan.jpg 読売新聞ほうむたうん 2009年8月号掲載


最近携帯電話を持つ小中学生が増え、それに伴い、依存症、料金、
有害サイト、いじめの温床になる学校裏サイトなど、
いろいろな問題が話題になっています。

自治体によっては、中学生以下の携帯に事実上規制を定めたところさえあります。

が、その一方で子どもの安全を守るものとしてのニーズが高まっているのも事実です。

しかし当の子どもたちは「友達が持ってるから」とか
「持ってないと仲間はずれになるから」などと言う理由で
しつこく親にねだります。
さて、どうしたらいいのでしょうか。

こんな時、私がいつも考えるのは、プラスマイナスゼロの原理です。

すべてのものには、プラス面とマイナス面があり、
マイナス面は埋めていかなければなりません。
ただ楽しい思いだけをすることは、ありえないのです。
たくさんのお金を得るためには、厳しい労働が、よい結果を出すには、
たえまない努力が、かわいい犬を飼うには世話やしつけが必要なのです。
つまり、プラス面とマイナス面、すべてのものはセットになっているのです。
それを買ったことによって、勉強や家庭生活に問題が起きるようなら、
事前に決まりや条件を作って、マイナス面を防がなくてはなりません。
「条件さえ守ればいつでも買ってあげるわ」「条件?」
「まず、○○を毎日きちんとすること。あと、家族に迷惑がかかることをしたら使用禁止よ」「家族の迷惑って?」
「それはね」…などと、時間やマナー、料金のことまで細かく決めたほうがよいでしょう。

 楽しい思いには、必ずそれに見合うだけの決まりや働きをセットにして提示するのです。
それが、約束できないなら買わない、決まりを破ればすぐに取り上げる、と。

リスクや努力なしの甘い汁を一度体験すると、
子どもは甘えたりわがままを通せばどうにでもなるとたかをくくるようになり、
欲求がエスカレートすることも少なくありません。
それがいずれ、依存体質になって、やってもらって当然という身勝手な考え方をしてしまいます。
何の努力もせず、欲求が通らないとすぐに切れたりします。
楽しい事のためには、つらいことや我慢することが必ず付いてくるのだということを伝えましょう。
子ども自身がマイナス面をしっかり埋めて、プラスとマイナスがきちんとゼロになるように、話し合ってみましょう。


posted by カメ先生 at 14:19| Comment(0) | 生活

2012年07月13日

子どもの失敗こそ伸ばすチャンス

kyouikuzukan.jpg 読売新聞ほうむたうん 2009年7月号掲載


子どもはよく失敗をします。

学校でも、工作や実験で切ってはいけないところを切ってしまったり、
実験の順序を間違えたりといった場面に数多く遭遇します。

もともと苦手な場合もあるし、間違えて覚えていたり、
話をよくきいていなかったりと原因はさまざまです。
なかには遊んでいて話を聞いていなかったなんていう子どももいます。
つい怒鳴りたくなりますが「子どもの失敗は伸ばすチャンス」と
心に言い聞かせ冷静に対応するようにしています。

 例えば、ちゃんとやっていたのに、つい手がすべって失敗したなんていう場合、
理由も聞かずに叱ったら、やる気を失わせるばかりか、
失敗を恐れるようになったり、本人を追い込んでしまうかもしれません。
ついうっかりとか、ちょっと忘れていたということは誰にでもあることです。
ですから、叱るより、どうしてそうなったのかきちんと話をきいてあげるべきでしょう。

では、悪ふざけで失敗した場合。
こんな時には罰を与えるべきです。
が、頭ごなしに叱れば、子どもも感情的になって、
素直にやったことを認めにくくなり、人のせいにしたり、
うそを言ってごまかしたりしがちです。

つまり、実は先程と同じようにやはり冷静に接してよく話を聞く必要があるのです。

 私の経験では、カーッと来て怒鳴ってしまって、うまくいったことはありません。

 子どものためを思ったら、子どもが真面目な場合も、不真面目な場合も、
まず、怒鳴らないで話を聞き、事実をを正確につかむことです。

そして、それをもとに子どもに自分の弱点や改めたほうがよい態度や、
悪い癖などを自覚させ、それを克服させるひとつのきっかけにしていくのです。

大人が頭から「おまえはここがだめだから、直しなさい」と言っても、
子どもがいつも素直に聞いてくれるとは限りません。
でも、自分の失敗に自分から向き合い、弱点や悪い癖を自覚し、
克服しようと考えたらどうでしょう。少しでも前向きな取り組みができるのではないでしょうか。

 誰だって、自分から進んで失敗しようとは思わないのですから。
 そして子どもが努力を始めたら、大人は、導き、助けてやればよいのです。
うまくできるようになったら、こう言ってほめてあげましょう。

「あの時、失敗してよかったね。できるようになったじゃない」


posted by カメ先生 at 10:54| Comment(0) | 生活