
以前食わず嫌いの調査をした時、
ひとつなるほどと思ったのは、家族との関係でした。
食わず嫌いをする子の家族には、やはり同じような
食わず嫌いの人がいることが多かったのです。
子どもは、小さいうちは酸っぱすぎるものや、
辛いもの、苦味があるものを嫌います。
それは、本来食べ物は、腐りかけると酸っぱくなり、
毒があると苦くなるということを
本能的に知っているからだと言われています。
やがて成長とともに味覚が育ち、何でも食べられるようになってきます。
ところが、家族の中に野菜嫌い、魚嫌いなどがいると、
「食べなくてもいいのか」と思ってしまうようです。
話は違いますが、親が暴力を振るうとその子どもも友だちや
自分の子どもに暴力を振るうという暴力の連鎖についても、
近頃よく指摘されています。
基本的な生活習慣から、他人への接し方まで、親は子どもの良い手本となり、
あるいは悪い手本となり影響を与えているわけですね。
ですから、その子を変えようと思ったら、
まず親から始めてみるのもひとつの方法です。
たとえば、人に挨拶やお礼がきちんと言えない子がいたとします。
そうしたら、それを叱るだけではなく、
毎日子どもと接するときに、親の方からきちんと挨拶をしたり、
心をこめて「ありがとう」を言ってみたりしてはどうでしょう。
そんな小さなことの積み重ねで、子供は確実に変わっていくはずです。
しかしそれは、親が子どもの代わりに挨拶をしたり、
お礼を言ったりすれば良いということではありません。
子どものやるべきことはあくまでも子どもがやるべき。
子どもの手本となるような行動を親が意識して、
どもの前でやって見せるのです。
もしあなたが、その子にきちんと部屋の整頓をしてもらいたいと思ったら、
かわりに片付けてあげたり、掃除したりしては逆効果になります。
親が率先して家の大掃除などを行い、それを手伝わせることによって、
掃除することの気持ちよさを一緒に体験させることが大切です。
「ああしなさい、こうしなさい」と命令するよりも、
心をこめて体験させることの方がずっと効果があるのです。
様々な子どもたちと接してきた中で、私も実感しています。
まず大人が動いてみることによって、子どもの良い面を引き出せることが実は多いのです。