2012年07月13日

いじめる側に原因がある

kyouikuzukan.jpg 読売新聞ほうむたうん 2009年5月号掲載


以前、いじめの種類と対策を書きましたが、
今回は、いじめを受けてしまったときの考え方のヒントを述べたいと思います。

いじめを受けると、いわれのない劣等感に襲われ、
自信を失い、追い詰められていきます。
自分に原因があるのだと考え、ますます思い悩みます。
でもここで逆転の発想をしてみましょう。

つまり、劣等感を持っているのはいじめる側であり、自分に非はないのだと。

では種類別に、いじめる側の問題を探っていきましょう。

まず、相手を自分より格下にし、使い走りにしたり、
脅したりする『パワーいじめ』ではどうでしょうか。
いくつかの事例を分析すると、いじめる側は、
甘ったれのめんどくさがりやが多いようです。
常に家族が手助けしてくれ、甘やかされたのでしょう。
ですから、面倒なことは友だちに頼む、断られたら弱そうな子にやらせる、
相手が嫌がれば、 脅迫やへ理屈で断れないようにし、いじめる…、
つまり自分がただ楽をしたいだけ、 過保護のぐうたら未熟児というわけです。


さて、一見 仲の良い集団の中で、物を隠したり、
匿名の悪口をばらまいたりする『陰口いじめ』はどうでしょう。

多くの場合、いじめる側はねたみや反感を隠していて、
いじめで相手が思い悩むと、ざまあみろと優越感に浸るわけです。
つまり、自分自身が相手より何か劣っているという劣等感を感じているのです。
堂々と意見することができない弱虫なんです。

では、相手の長所をつぶし、短所を探り出しては馬鹿にする『出るくいいじめ』では?
このタイプは、常にいろんな理屈や批判を並べて、相手を攻撃します。
その攻撃があまりに日常的に繰り返されると、被害者は本当にぼろぼろにされてしまいます。
でも逆に言えば、このタイプは絶えず相手を攻撃しなければ自分を保てない、ちっぽけな人間です。
自分が相手より劣っているのを認めたくない、
自分に自信がない… だから相手を攻撃することでバランスをとっているだけなのです。

いじめを受けているあなた、あなたをいじめているのは、自立できない未熟児ですか?
劣等感を隠した弱虫ですか? それとも自分の弱点を相手への攻撃で隠す卑怯者ですか?


 こんなダサいやつらに負けないで。
あなたには輝く未来があるのですから。




posted by カメ先生 at 10:35| Comment(0) | いじめ

2012年07月10日

いじめの考え方 [いよいよ鬼と対決 2]

kyouikuzukan.jpg 読売新聞ほうむたうん 2008年11月号掲載


いじめのタイプに対し、ターゲットになりやすい
子どものタイプとその対策の後編です。

■ 出る杭では…【実力はあるが集団になじめない人。気持ちが優しい、口答えの少ないタイプ
このタイプの人は、日頃から集団の決まりを守るように心がけたり、
理不尽なことを言われたら、時にはきちんと言い返すことも大切です。
かと言って、まわりからねたまれるような実力のある身で、
自己主張を強くしすぎると、新たなバッシングの原因を作ることになってしまいます。

出る杭いじめの相手は、へ理屈の達人が多いですから、下手に自己主張しようものなら、
その場でもっとひどい言いがかりをつけられるかもしれません。

出る杭いじめ対策で、まず大切なのは、よき理解者、肉親や友人を持つことです。

あの手、この手、批判や予期せぬ言いがかりをつけられるこのいじめは、
自分に落ち度や悪い点があるのか、相手が悪いのかさえ、
わからなくなることが多いのです。
だから、公正な立場、中立な立場で話を聞き、
問題点をきちんと受け止めてくれる理解者が不可欠です。

そして、被害者は悪くない、実力から見ても、正当に評価されていないなどが
はっきりしてきたら、理解してくれる仲間を少しずつ増やして行きましょう。

正しいことをしていれば、いつか必ず、集団全体の人が、
どちらが正しいのかをわかってくれるはずです。
さて、桃太郎の話では 鬼をやっつければ宝が手に入ります。
その宝とは何でしょう。それは、人間をいきいきさせる、適材適所の配置です。

ひとりひとりはみんなちがいます。
でもそのちがいは、格付けし合うためでも、傷つけ合うためでもなく、
お互いを認め、いかし合うためのちがいなのです。
 
いじめを乗り越えたら、子どもたちがいきいきできる
居心地のよい場所を作ってあげることが重要です。

いじめ対策と共に、集団を活性化させるイベントや発表会を企画し、
子どもたちのプラスの力を引き出していかし合うだけで、
いじめの再発が大幅に減ることもあるのです。

いろいろな個性をいかし合えるような器や環境を考えてあげることが、
我々大人の務めなのではないでしょうか。



posted by カメ先生 at 10:58| Comment(0) | いじめ

いじめの考え方 [いよいよ鬼と対決 1]

kyouikuzukan.jpg 読売新聞ほうむたうん 2008年10月号掲載


さて、前回までいじめのタイプについて分析してきました。

次はそれぞれのいじめのタイプに対し、ターゲットになりやすい
子どものタイプとその対策を考えていきたいと思います。


■ パワーいじめでは…【断り切れない優柔不断、気が弱いタイプ
「1回だけ言うことを聞けばあとは許してもらえるかな」
とんでもない。その1回がいじめの始まりになるのです。
最初に理不尽な申し出を断れず、言いなりになってしまったり、
金品を渡してしまったりすると、 「こいつはいけそうだ」と目をつけられ、
しつこく金品を要求されます。
とにかく無理なことを言ってきたら、はなから相手にしないこと。
脅しや暴力があったら、それを証拠にすぐ学校や大人に知らせましょう。

「チクったりしたら、ただじゃおかないぞ」とよく脅されますが、
実際は先生や両親にすぐ知らせれば解決する場合がほとんどです。
逆に脅しをかけてまで口封じをする事柄は、実は相手の弱点である場合もあります。
脅しに負けてチクらないと、そこが底なしの地獄の始まりだと認識しておきましょう。


■ 陰口いじめでは…【情緒不安定で、少しのことで落ち込み、ショックを受けるタイプ
 少しのことで騒いだり落ち込んだりすると、そこが格下扱いされるきっかけとなり、
いじめる側を増長させることになってしまいます。
 勇気のいることですが、多少のことには平静を装い、
いじめは許さないという態度をまわりに示しましょう。
その上で、すぐに先生や両親に相談して対策を立てます。

具体的には、いつどんな場所でどういういじめを受けたか、
その回数や内容などの詳しいメモを作り、相手を特定することはもちろん、
手口を分析し、再発を阻止します。
例えば、持ち物を隠されたりイタズラをされるのなら、
そういう行動が出来ないようにします。
朝や放課後は子どもだけで教室に出入り出来ないようにする、
行き帰りを集団行動にし、相手の単独行動を不可能にする…などです。
このタイプのいじめは、相手グループの特定やその手口をはっきりさせれば
対策が立てやすく、ぐっと解決に近づきます。


(次回に続く)


posted by カメ先生 at 10:55| Comment(0) | いじめ