2012年07月06日

子どものやる気を育てる4『子どもをほめてのばす』

kyouikuzukan.jpg[読売新聞ほうむたうん2008年5月号掲載]


子どもはほめてのばせとよくいいます。


うまくほめることができれば、
本当に子どものやる気ががんがん出てきます。

今回はやる気を育てる4つのほめ方についてまとめてみましょう。

【1】合格の「ほめる」
子どもがうまくできたときの基本的な「ほめる」です。

結果を出してほめられれば、行動の目当てとなります。
ですから、きまりを守れた、以前から努力していた目標を達成できた等、
一貫性をもってほめます。
思いつきでほめたり、何かする度にほめすぎると、
行動の目当てとしてのありがたみが薄れてしまいます。


【2】過程を「ほめる」
結果はともあれ、がんばったその努力をほめる。

やる気・姿勢・態度、あるいは続けてきたこと、毎日の取り組みをほめる。
子どもの努力をきちんとみて、そこを効果的にほめてあげれば、
小さな失敗やトラブルに左右されず、
さらに努力するやる気の循環が生まれます。
ほめられるから努力し、またほめられる。
ここがうまく行きだすと、やがて結果もついてくることでしょう。


【3】潜在能力を認める「ほめる」
期待していた結果とは異なったけれど、違ったよい成果があった。

本人は気づいていないけれど、こんないいところがあるなど、
いろいろな子どもの力を認めてあげる「ほめる」です。

いろいろな角度から子どもを認めてやることにより、
親はちゃんと自分をみていてくれるという思いが育ちます。

信頼の礎となる「ほめる」です。

【4】自信をつける「ほめる」
子どもが劣等感を持っている部分をほめて助けてあげることです。

これはなかなか難しく、私たち大人は、
つい子どもの不得意なことをくり返し叱ってしまいます。
本人もよく分かっている時、叱りすぎは逆効果です。

トラウマになり、それが原因で信頼関係が崩れたりしてからでは遅すぎます。
子どもだって好きで苦手にしている訳ではないのですから。
良い点を見つけて、ほめてもらえれば悪い気はしないわけです。

わざとらしくならないよう注意し、小さな事でも評価できる事実を見つけ、
劣等感を持っているところを暖かく包んでやります。
解決法をそれとなく教えてやったり、
一緒になって取り組んだりする方が、叱るより効果的です。

やがて少しずつ劣等感が自信に変わり、立ち直るチャンスになるかも知れません。




 4つの「ほめる」を使い分け、子どものやる気を育てましょう。





posted by カメ先生 at 10:31| Comment(0) | 勉強

子どものやる気を育てる 3『リーダーシップについて』

kyouikuzukan.jpg[読売新聞ほうむたうん 2008年4月号掲載]

今回は、リーダーシップについてのお話です。


うちの子は言うことを聞かないという話をよく耳にします。

子どもは成長と共に、生意気になったり、減らず口をたたくようになったりします。
そうかといって、やたらに激しく子どもを叱ったり、
口うるさく注意すると逆効果になることも多いのです。


子は、親の鏡、大声で叱られた子どもは、怒鳴り返すことを覚え、
注意された子どもは揚げ足をとることを覚えます。
ではどうしたらいいのでしょうか。

 子どもは、尊敬すべきリーダーを心待ちにしている。
これが、長年教育現場を見てきた私の感じることです。

 親の言うことは聞かないのに、スポーツチームのコーチの言うことはよく聞く、
というのはままあることです。
なぜ、家庭とこんなに違うのか。
そこには、リーダーシップの違いがあります。


 リーダーとして決してやってはいけないことは、
その場しのぎの思いつきの指導、威嚇や脅迫、
筋の通らない理不尽な指導、 そして甘やかしや尻ぬぐいです。

例えば、思いつきで何かを指示し、親の考えるように出来なかったと
叱ったりした経験はありませんか?

 指示の不備を棚に上げて怒鳴り、結局尻ぬぐいをして、それが愛情だと勘違いする。
こういうパターンだと、子どもは、大人を馬鹿にするようになり、
どうせどうにかなるとたかをくくってしまいます。


 では、やる気を育てるリーダーシップとは?
それは、目的や見通しをしっかり示し、子どもの意志と責任をいかして決定させ、
決まりに基づいた裁定を行い、そして失敗を乗り越え、成功へと導く指導力です。


 それぞれの子どもの実情に合わせ、

[1]約束や決まり、守れなかったときの責任の取り方を話し合いで決める。

[2]日程や、段取りを、コツやトラブル処理も含めて説明する。

[3]子どもの役割や仕事分担を子どもに自分から責任を持って決定させる。


ただし、肝心なのは親が決めた選択肢から選ばせるのです。

例えば、一番大変な仕事とプチご褒美を組み合わせて一番、
一般的な仕事を二番、楽だけどおまけ仕事もついたものを三番などとして選ばせます。
どんな選択肢を作るかがリーダーシップの見せ所です。

[4]そして、うまくいったらほめてやり、うまくいかないときは事前に決めた決まりに従って、 自分で責任をとってもらいます。このとき、厳しくしかる必要はないし、尻ぬぐいをする必要はまったくありません。


親が裁くのではなく、自分たちで決めた決まりが裁くのです。
ですから、文句を言う相手も自分なのです。

しかし、子どもですから、生意気なことを行っても大切な決まりを創ったり、
日程や見通しを立てたり、もちろんコツやトラブル処理なんて
、なんてことはなかなかできません。

だから、そこで大人がリーダーシップを発揮すれば
今までできなかったことができるようになったり、
スムーズに片づいたり、自己実現ができたりして、
大人への尊敬心も生まれてくるのです。


posted by カメ先生 at 10:28| Comment(0) | 勉強

子どものやる気を育てる 2『家の仕事や宿題をやる気を持って取り組ませる』

kyouikuzukan.jpg[読売新聞ほうむたうん 2008年3月号掲載]


今回は、家の仕事や宿題をやる気を持って取り組ませるための方法です。


ある子どもは、学校から帰ってくるとすぐにゲームを始めます。

宿題が出ているはずだし、部屋も汚いので掃除して欲しいし、少し家事を手伝ってほしい…。
さて、あなたならどのように言ってそれらをやらせますか。


ただ一方的に「××をやりなさい」と言っても、なかなか聞かず、
厳しく言われて重い腰を上げたものの、不機嫌な様子で、やる気は見られません。

子どもの方から見るならば、『自分の楽しみ』と『それがなくなる』という
二つの選択でしかなく、 宿題も、部屋の掃除も、家事の手伝いも、
それぞれ意義のあることなのに、
すべては『楽しい時間をとりあげるもの』という
1つのレッテルを貼られてしまったら、
やる気をもって取り組むのは難しいでしょう。



そこで提案するのが3つ以上の指示を出す、段取り方式です。

[1]子どものやるべきことを3つ以上用意する。
[2]限定された時間内に終わらせるように宣言する。
[3]いつから始めてどのような順番で終わらせるか子供によく考えさせ決めさせる。

その際、実現不可能なことについては、指摘して考え直させる。
休み時間をとったりいやなことを後回しにしてもそれは子どもの自由でよい。



つまりこんな具合です。

「これから夕飯までの間に、宿題と、部屋の掃除と家事の手伝いをしてください。
それらが時間内に終わるなら、ゲームをやってもいいわ」

そして子どもに、順番と始める時間を
しっかり考えさせてから実行させます。


先ほどの二択から、多様素の三択以上となり、
子どももそれぞれの作業の大変さや重要性を比較したりし始めます。

その上で、どんな順番でやると一番効率的なのか、
段取りを考えて計画的に行動する基礎が自然に身についていくのです。
子どもの方も、自分で決められることの面白さが分かってくるでしょう。

そして、予定があらかたうまくいったらその段取りをほめてやってください。

くれぐれも、大人の知恵で「いやなことを先にやりなさい」などと強要しないこと。

それらを子ども自身につかみとらせることこそ目的の1つなのです。


親もその場の思いつきで子どもに命令するのでなく、
見通しをもった支持を与えて、子どもが自ら段取りを組み、
やる気を持って主体的に取り組めるよう応援していきましょう。


posted by カメ先生 at 10:25| Comment(0) | 勉強