
私は、以前よく教室でフルーツバスケットやジャンケンゲームなどをやりました。
最初は子どもたちと楽しむために始めたのですが、
そのうち、ある教育効果が高いことがわかり、
特に学期の初めやクラスのまとまりをつける時に、意識的に行うようになりました。
その一番の効果は、勝ち負けや失敗にこだわらずに、情緒が安定してくることです。
3年生のA君の場合。
ちょっとしたことですぐに感情的になり、なかなか勝てずに号泣、ゲームは中断しました。
でも、ゲームを続けたい気持ちもあり、ぐずぐずしている様子。
そんなA君を横目に、みんなで楽しくゲームを続けていると、
そのうち泣くのをやめて勝ったり負けたりするのを見るようになりました。
次のゲーム大会からは、進んで取り組むようになり、
日常生活においても感情的になることが、どんどん減っていきました。
単純なゲームほど、勝ち負けが頻繁に判定されます。
そのたびに怒っていたら、ゲームはまったく進みません。
大人も、誰が勝ったかより、誰のおかげで楽しかったかなどを強調するようにします。
それを繰り返しているうちに、こんななんでもないことで
いちいち感情的になっても仕方がないとわかってくるのです。
そして大事なのは、失敗や負けを次にどう生かすかです。
どうやって次は勝とうか、盛り上げようか…。
失敗や負けの原因を次に生かし、前向きに取り組むことが身に付きます。
ゲームを通じていろいろな体験を繰り返すうちに、
失敗もよい経験だと思え、思いやりや集中力、持続力もついてくるのです。
最近は理科の実験などでも、うまくいかないと
すぐに投げ出してしまう子どもが増えたような気がします。
「うまくいったからおもしろかった」では浅すぎます。
何度も失敗して、原因を分析し、方法を工夫し、
あるいはオリジナルのひらめきを取り入れて、
やっと成功するからこそ、本当の充実感がそこにあるのです。
少しぐらいうまくいかなくても、がんばり通すことが出来れば、
その先にもっとすばらしい何かが必ずあるんだとわかってほしいのです。
友だちや家族でも、ボードゲームなど集団遊びをどんどん取り入れ、
楽しみながら、勝ち負けや失敗にこだわらないたくましさを育ててください。