
「うちは、上はおとなしいんだけれど、下がワンパクでね」
などという言葉を時々耳にします。
おとなしいというのは、よくほめ言葉として使われるようですが、
実際はそう簡単なものではありません。
「問題児の多いクラスを立て直すコツはありますか」と聞かれた時、
私はよくこう答えます。
「ケースによりますが、おとなしい児童が、キーポイントになることが多いですね」
そうなのです、おとなしい子どもの扱い方は、要注意なのです。
実は、手のかかるワンパクな子は、
目立つのでいろいろな場面で大人に声をかけ、
手をかけてもらえます。
また、行動的なため、自分の得意なことや、
能力を発揮できる機会にも恵まれます。
ところが、おとなしい子は、つい放っておかれがちになり、
能力を発揮できるチャンスをみすみす逃すことも少なくありません。
そう、おとなしい子は、損をすることが多いのです。
例えば、問題児の多いクラスの場合、教師がつい問題児ばかり指導をしていたとします。
その時、おとなしくしている大多数の児童は放っておかれ、我慢をしているのです。
表面上はおとなしくても、不満や反感を溜め込んでいることもあるのです。
こんな状態が長く続くと、おとなしい子が突然切れたり、
非協力的に変化して行きます。ある日気がつくと、
教師の言うことを聞く子どもがひとりもいない、なんてこともあるのです。
おとなしいからといって、不満やストレスがないわけではありません。
なんらかの理由でそれを外に出さないだけなのです。
クラスの中では、ワンパクな子もおとなしい子も、
同じだけ手をかけるよう、気づかいます。
おとなしく努力家の子たちが得意な学習発表会や自由レポートを企画し、
その中で、その子たちを活躍させ、評価します。
すると子どもたちは「大人は自分たちをきちんと見ていて努力すれば評価される」と
考えるようになります。
さらにそれを進め、人と関わる力をつけていけば、
クラスの中で優秀なリーダーに育つ可能性だってあるのです。
おとなしいからといって、いつも満ち足りているわけではありません。
おとなしい子ほど、気にとめ、声をかけましょう。
不満を聞きましょう、得意なことを伸ばしてあげましょう。