2012年07月13日

子どもの失敗こそ伸ばすチャンス

kyouikuzukan.jpg 読売新聞ほうむたうん 2009年7月号掲載


子どもはよく失敗をします。

学校でも、工作や実験で切ってはいけないところを切ってしまったり、
実験の順序を間違えたりといった場面に数多く遭遇します。

もともと苦手な場合もあるし、間違えて覚えていたり、
話をよくきいていなかったりと原因はさまざまです。
なかには遊んでいて話を聞いていなかったなんていう子どももいます。
つい怒鳴りたくなりますが「子どもの失敗は伸ばすチャンス」と
心に言い聞かせ冷静に対応するようにしています。

 例えば、ちゃんとやっていたのに、つい手がすべって失敗したなんていう場合、
理由も聞かずに叱ったら、やる気を失わせるばかりか、
失敗を恐れるようになったり、本人を追い込んでしまうかもしれません。
ついうっかりとか、ちょっと忘れていたということは誰にでもあることです。
ですから、叱るより、どうしてそうなったのかきちんと話をきいてあげるべきでしょう。

では、悪ふざけで失敗した場合。
こんな時には罰を与えるべきです。
が、頭ごなしに叱れば、子どもも感情的になって、
素直にやったことを認めにくくなり、人のせいにしたり、
うそを言ってごまかしたりしがちです。

つまり、実は先程と同じようにやはり冷静に接してよく話を聞く必要があるのです。

 私の経験では、カーッと来て怒鳴ってしまって、うまくいったことはありません。

 子どものためを思ったら、子どもが真面目な場合も、不真面目な場合も、
まず、怒鳴らないで話を聞き、事実をを正確につかむことです。

そして、それをもとに子どもに自分の弱点や改めたほうがよい態度や、
悪い癖などを自覚させ、それを克服させるひとつのきっかけにしていくのです。

大人が頭から「おまえはここがだめだから、直しなさい」と言っても、
子どもがいつも素直に聞いてくれるとは限りません。
でも、自分の失敗に自分から向き合い、弱点や悪い癖を自覚し、
克服しようと考えたらどうでしょう。少しでも前向きな取り組みができるのではないでしょうか。

 誰だって、自分から進んで失敗しようとは思わないのですから。
 そして子どもが努力を始めたら、大人は、導き、助けてやればよいのです。
うまくできるようになったら、こう言ってほめてあげましょう。

「あの時、失敗してよかったね。できるようになったじゃない」


posted by カメ先生 at 10:54| Comment(0) | 生活

「叱る」のいろいろ

kyouikuzukan.jpg読売新聞ほうむたうん 2009年6月号掲載

今回は、叱り方について述べたいと思います。

子どもによっては、ちょっと叱っただけで泣き出す子もいれば、
叱られ慣れていて、ちっとやそっとじゃ、言うことを聞かない子もいます。

どこでこんな差が出てくるのでしょう。

私たちは、何気なしに叱っていますが、「叱る」にもいろいろな意味があって、
子どもの受け取り方が違うのです。

たとえば、「威嚇」。
子どもがだらけていたり、ふざけすぎたりしたら、ひと声かけてしゃんとさせます。
きちんと言うことを聞くように脅しをかけるわけです。

子どもに正しい行いを喚起するための「注意」もあります。

ああしなさい、こうしなさいと、細かく言い続けて、
子どもをコントロールするわけです。
そして「叱る」の一番の使命としての「罰」があります。
よく、のび太がママに、カツオが波平さんに、
呼びだされて怒鳴られたりする、あれです。

でも、これで終わりではありません。

罰を与えられて、自分の行いが間違っていたと子どもが思い知ったあと、
さらにたどりつかねばならないのが究極の目的「さとす」なのです。
子どもが自ら自分の行いを反省し、改めていくように訴えかけることです。

「あなたのしたことは、相手から見たら、どうだったと思う?
相手は今、どんな気持ちでいると思う?」 といったように、
問いかけ、子ども自身に答えを見つけさせます。

そして、子どもが答えを見つけたら
「ならば、あなたはどうしたらいいのかしら。
そうね、すぐにやりましょう、 ママも手伝うから」と、
自主的な行動を促し育てるのです。


これを叱った側がきちんとしなければ、子どもの本当の進歩はのぞめません。

叱られて、とりあえず黙っているだけ、
言うことを聞くふりをしているだけになってしまいます。
ただひどい罰を与えるだけで終わると、
子どもは異常におびえたり、やる気をなくしたりします。
また、きちんとした罰を与えないで「威嚇」ばかりでその場を押さえていると、
大人を甘く見るようになり、 少しの脅しでは言うことを聞かなくなります。

親も忙しくついつい怒鳴るばかりになりがちですが、
きちんと「さとす」ことを行うよう心がけ、 子どもが自ら行いを正しく改め、
高い自主性をもって成長する手助けをしましょう。


posted by カメ先生 at 10:37| Comment(0) | 生活

いじめる側に原因がある

kyouikuzukan.jpg 読売新聞ほうむたうん 2009年5月号掲載


以前、いじめの種類と対策を書きましたが、
今回は、いじめを受けてしまったときの考え方のヒントを述べたいと思います。

いじめを受けると、いわれのない劣等感に襲われ、
自信を失い、追い詰められていきます。
自分に原因があるのだと考え、ますます思い悩みます。
でもここで逆転の発想をしてみましょう。

つまり、劣等感を持っているのはいじめる側であり、自分に非はないのだと。

では種類別に、いじめる側の問題を探っていきましょう。

まず、相手を自分より格下にし、使い走りにしたり、
脅したりする『パワーいじめ』ではどうでしょうか。
いくつかの事例を分析すると、いじめる側は、
甘ったれのめんどくさがりやが多いようです。
常に家族が手助けしてくれ、甘やかされたのでしょう。
ですから、面倒なことは友だちに頼む、断られたら弱そうな子にやらせる、
相手が嫌がれば、 脅迫やへ理屈で断れないようにし、いじめる…、
つまり自分がただ楽をしたいだけ、 過保護のぐうたら未熟児というわけです。


さて、一見 仲の良い集団の中で、物を隠したり、
匿名の悪口をばらまいたりする『陰口いじめ』はどうでしょう。

多くの場合、いじめる側はねたみや反感を隠していて、
いじめで相手が思い悩むと、ざまあみろと優越感に浸るわけです。
つまり、自分自身が相手より何か劣っているという劣等感を感じているのです。
堂々と意見することができない弱虫なんです。

では、相手の長所をつぶし、短所を探り出しては馬鹿にする『出るくいいじめ』では?
このタイプは、常にいろんな理屈や批判を並べて、相手を攻撃します。
その攻撃があまりに日常的に繰り返されると、被害者は本当にぼろぼろにされてしまいます。
でも逆に言えば、このタイプは絶えず相手を攻撃しなければ自分を保てない、ちっぽけな人間です。
自分が相手より劣っているのを認めたくない、
自分に自信がない… だから相手を攻撃することでバランスをとっているだけなのです。

いじめを受けているあなた、あなたをいじめているのは、自立できない未熟児ですか?
劣等感を隠した弱虫ですか? それとも自分の弱点を相手への攻撃で隠す卑怯者ですか?


 こんなダサいやつらに負けないで。
あなたには輝く未来があるのですから。




posted by カメ先生 at 10:35| Comment(0) | いじめ

子どもは大人のかがみ

kyouikuzukan.jpg読売新聞ほうむたうん 2009年4月号掲載

以前食わず嫌いの調査をした時、
ひとつなるほどと思ったのは、家族との関係でした。
食わず嫌いをする子の家族には、やはり同じような
食わず嫌いの人がいることが多かったのです。


子どもは、小さいうちは酸っぱすぎるものや、
辛いもの、苦味があるものを嫌います。
それは、本来食べ物は、腐りかけると酸っぱくなり、
毒があると苦くなるということを
本能的に知っているからだと言われています。

やがて成長とともに味覚が育ち、何でも食べられるようになってきます。
ところが、家族の中に野菜嫌い、魚嫌いなどがいると、
「食べなくてもいいのか」と思ってしまうようです。


話は違いますが、親が暴力を振るうとその子どもも友だちや
自分の子どもに暴力を振るうという暴力の連鎖についても、
近頃よく指摘されています。

基本的な生活習慣から、他人への接し方まで、親は子どもの良い手本となり、
あるいは悪い手本となり影響を与えているわけですね。

ですから、その子を変えようと思ったら、
まず親から始めてみるのもひとつの方法です。


 たとえば、人に挨拶やお礼がきちんと言えない子がいたとします。
そうしたら、それを叱るだけではなく、
毎日子どもと接するときに、親の方からきちんと挨拶をしたり、
心をこめて「ありがとう」を言ってみたりしてはどうでしょう。
そんな小さなことの積み重ねで、子供は確実に変わっていくはずです。


しかしそれは、親が子どもの代わりに挨拶をしたり、
お礼を言ったりすれば良いということではありません。
子どものやるべきことはあくまでも子どもがやるべき。
子どもの手本となるような行動を親が意識して、
どもの前でやって見せるのです。

もしあなたが、その子にきちんと部屋の整頓をしてもらいたいと思ったら、
かわりに片付けてあげたり、掃除したりしては逆効果になります。
親が率先して家の大掃除などを行い、それを手伝わせることによって、
掃除することの気持ちよさを一緒に体験させることが大切です。

「ああしなさい、こうしなさい」と命令するよりも、
心をこめて体験させることの方がずっと効果があるのです。

様々な子どもたちと接してきた中で、私も実感しています。
まず大人が動いてみることによって、子どもの良い面を引き出せることが実は多いのです。



posted by カメ先生 at 10:33| Comment(0) | 親子関係

叱るのをやめたら どうなるの?

kyouikuzukan.jpg 読売新聞ほうむたうん 2009年3月号掲載


「子どもが言うことを聞かなくて…」
母親なら誰しも口にしたことがあると思います。
叱られないと動かない、動き出しても文句や
生意気なことばかり言う、そんな姿が目に浮かびます。

しかも、こういう子どもほど、絶えず親がかまってくれているので、
依存心が抜けにくいらしい。
主体性が育ちにくく、親の思いとは裏腹です。

叱られるまではゴロゴロしていよう、うまくすれば親が手伝ってくれる…
そんな計算も無意識に働いているでしょう。


ならばいっそ、叱るのを一切やめて放っておけばどうなるでしょう。
実は、私は、やったことがあります。

問題の多いクラスでしたが、ある日子どもたちにこう話しました。
「あと1週間で運動会です。そこで先生は考えました。
楽しい運動会にするために、運動会が終わるまで、大きな声で叱ることをやめます」

それまでは毎日のように、大声を出していたクラスであり、
私もよくよく考えての決心でした。

果たして、結果はどうだったか?

なんと丸ごと1週間、大声を出すどころか小言さえも言わず、運動会は大成功でした。

 成功の秘けつは、次の3つ。

【1】その週、その日の予定をわかりやすく示し、
   やるべき取り組みの見通しをきちんと伝える。

【2】きちんとやらないと、放課後残ってやってもらったり、
   宿題が増えたりすることを承知してもらい、
   もしそうなったら、静かにそれを実行させる。

【3】何か起きたら、まず子どもの話を良く聞き、
   よい点は認め、直すべき点は、叱らずに本人に考えさせる。


その場で言いたいことがあっても、がまんして注意せず、
次の予定や指示の説明の時にこんな時はどうしたらよいのだろうと
本人に投げかけるようにしました。

すると、今まで文句ばかりだった子どもたちが、
だんだん自分から反省するような発言をするようになってきたのです。

もちろん それが全てに有効だとは思いません。

でも実際に、普段言うことを聞かない子どもが動き、
何の問題も起きませんでした。
なにより、自分から動き出せば認めてもらえるという実感は、
主体性が育つきっかけとなったようです。

行き当たりばったりではなく、手間はかかりますが、
先の見通しをたてて子どもと話し合うことは大切です。
叱らないのも、ひとつの手なのです。



posted by カメ先生 at 10:30| Comment(0) | 親子関係